日本語の英名表記は、なぜ「名→姓」

中学校で英語を習い始めてから、アルファベット表記を「名→姓」とすることに疑問はなかった。しかし、大学時代、日本以外の国の人間が自分の名前をアルファベット表記する際、姓名順は母国語と同じになる、という話をどこかで読んで少し考えが変わった。(このサイトのような記事http://home.att.net/~keiichiro/gokai/jpn/name.html)
つまり日本語なら、「姓→名」とするのが自然なんだ、と。この合理的な考え方に共感を覚えて、しばらく意識的に「姓→名」を使っていたことがある。 その順番で何の問題もなさそうだった。


だが、少しだけ悩んだ時期があった。論文を書く際の名前を決定する必要に迫られた時だ。論文にはローマ字表記で統一した名前を使う必要がある。それまでの考えに基づいて姓→名の順に書いた初めての英語名の論文は、担当教官に名前順がしっかり「修正」され、「名→姓」の順になって返ってきた。それに軽いショックを受けた。きっと典型的な日本的な考え方なんだ、姓→名の順番は認められないんだ…、と。


だいぶ後になって、それはただの論文誌の名前の表記ルールであることがわかった。基本的に著者名は姓で引用される。どちらが姓であるかひと目でわかる必要がある。どの国の人だろうと、その論文誌の種類によって姓が後ろになったり前になったりするのである。ただの合理的なルールだったのだ。


合理的といえば、最近英名を、姓名順に関わらず、どちらが姓でわかるように、そちらを全て大文字で書く人が増えた。例えば福沢諭吉ならYukichi FUKUZAWAでもFUKUZAWA Yukichiでもどちらでもよい。「大文字で書いてある方が苗字」である。研究関係のメーリングリストなどで参加者の英語表記を見ると、姓名順は結構バラバラだが、どちらが姓であるかはひと目でわかる。私もこれに倣い、現在は姓→名の順で表記している。


そんなわけで、少なくとも研究者の世界では「姓→名」は徐々に増えつつある。海外のスタンダードに触れているからだろうか、一般人とは少しずれているからだろうか。他の職種の人たちはどうしているのだろう。




参考
「日本人の名前が外国で変えられちゃうのは何故?」
http://homepage2.nifty.com/osiete/s989.htm
「ことば・言葉・コトバ−文化差・姓名−」
http://blogs.dion.ne.jp/bunsuke/archives/852968.html